留学者数が減少することはヤバイ

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「今の日本の若者は内向き志向だ」あなたもそんなことをどこかで聞いたことがあるかもしれません。確かに、海外へ留学する若者の数そのものはピーク時である2004年の約83,000人から60,000人前後へと30%程度減少しています。この数字だけを見て「内向き志向である」と断定するのは早いわけですが、それを踏まえたとしてもちょっとマズイのではないかという話です。

図1

留学者数の減少は人口減の影響が非常に大きい

海外へ留学する若者が減った理由は、「内向き志向である」ということもないわけではないと思いますが、どうやらそれだけではないようです。統計局から取ったデータに基づくと、1970年代に若者(29歳以下)は5500万人いたところが、2010年に入って4000万人を切っています。この減少率は実に留学者数の減少と同じく、30%程度減少しています。もちろん、対象期間が少々ずれています。かと言って、それを統一することが正しい数字になるわけでもないかとも思います。とはいえ、この若者の数が減っていることは海外へ留学する人の数に影響していることは間違いないと言われています。

それ以外にも、英語圏への留学費用の高騰や、家庭の経済状況の悪化、また、少子化による親の過保護化など、色々とその原因が挙げられており、「内向き志向」という一言ではとても片付けられないということが事実としてあります。「そんな実態があるのだから海外へ留学する数が減ってもしょうがいないよね」と思いたいところではありますが、事態は思うよりも深刻なように思えます。

諸外国との関係を密にする主な方法は「軍事交流」

ご存知の通り、日本は戦後、日本国憲法第9条の制定により「戦争の放棄」を掲げています。昨年に安保法制案の強行採決があり、某学生団体がデモを起こしたりしたあの件ですね。本件についてこの場では言及するつもりはありませんが、誰も好んで“戦争”というものをしたいと思っているわけではないと思います。実は、そういった「戦争の放棄」を掲げた日本において、若者が海外に行く、もしくは、海外の若者が日本に来るといった“青少年の国際交流”こそが、日本が戦後、諸外国と関係を構築する上で非常に重要な役割を担っていたのです。

国と国が関係を密にする最も手っ取り早い方法というのは、悲しいかな「軍事交流」です。要するに、いつでも戦争ができるような準備をするために武器等を輸出入することですね。武器等を輸出入するということは、敵対心があればできないことですし、それがなければ自分たちを自衛できないわけですから、その関係を重視しないわけにはいかないというのが、ある意味今でもグローバルスタンダードなのかもしれません。

「青少年の国際交流」こそ、日本が取った関係構築策

そんな中で「戦争の放棄」をした日本。戦後、諸外国との関係を構築することは非常に頭を悩ませたと思います。そんな中で、誰しも納得し、関係を密にしていくことのできる方法として出たことこそ、「各国の青少年同士を交流させる」というものだったわけです。各国の青少年同士が交流することで、青少年本人が相互理解するだけでなく、日本と諸外国の関係性を密にする上で非常に重要な役割を担っているものなわけです(事実、戦後青少年として日本に来た諸外国の方々が、各国の重要なポジションに就いているということが非常に多く見られます)。

このような事実を受けて、改めて海外へ留学する若者が減っているという事実を見ると、もちろん人口が減っているという側面は鑑みなくてはならないとしても、「だから仕方ない」と割り切れる問題でもないとも思います。むしろ、これから本気で戦争をしないという意思表示をしていきたいのであれば、(デモももちろん結構なのですが)海外へ留学するということが本当に必要なのではないかと思うわけです。

「戦争」と「留学」がトレードオフの関係!?

最近では、青少年の国際交流と名のつく団体の数がことごとく減っていっているようです。それは、元々国から予算が付いていたような団体が多かったからという話ではあり、その予算削減によってという理由だそうです。もちろん、今の国の財政を考えれば、そのようなことが起こって然るべきとも思いますが、本当にそういった予算を削って良いものなのかということは改めて考えてみる必要はあるように思えます。

「海外へ留学するもしないも自由でしょう」もちろん、仰るとおりです。ただ、それによって戦争がトレードオフの関係になるかもしれないということだけは認識していただきたいところではあります。それくらい重要なことであると感じています。

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キヨカワ

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