転職・起業と嫁ブロック

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“嫁ブロック”という言葉が今年は流行語になりそうなくらい色々なところで使われていますね。昨年に続き、今年も転職業界では売り手市場のようですから、転職を考えられている人も多いのだと思います。未婚の方であればほぼご自身の判断のみで転職を決断できると思いますが、結婚しているとそうは行かない部分もあります。そんな折に出てくるのが正に“嫁ブロック”なわけです。

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“嫁ブロック”が起こる原因は“不安”

私も独立してもうすぐ3年目となりますが、独立した当時結婚していましたし、子供も2人いました。そんな中で「独立しようと思う」という話をすれば、反対されるのはごくごく自然のことのように思いますし、事実反対されました(苦笑)。“ごくごく自然”とさも当たり前のように書きましたが、なぜそんな“嫁ブロック”というものが発生するのでしょう?まずはその原因を改めて確認していくことから始めていきたいと思います。

その原因を端的に言えば、“不安だから”に他ならないでしょう。そしてその“不安”というものをもう少し掘り下げていくと、次のステージ(転職先や独立・起業)で本当に上手くいくのかどうか、もっと言えば、きちんと安定した生活を送れるかどうかというようなところでしょうか。特に私の場合は嫁が専業主婦なため、私がこけるとすべてこけるような状態になるわけで、その不安は相当なものだったのではないかとも思います。また、たとえ奥さんが働いていたとしても家のローンがあるような方も同じような不安を感じることも想像に難くありません。だから、安定している“今”を捨てる必要がどこにあるのか、ということが“嫁ブロック”の主な原因なのではないかと思います。

“不安”と同等以上の理由を伝える必要がある

翻って、転職や独立・起業をしようとする本人はどのような動機で次のステージに行こうとしているのでしょうか。「今の職場が嫌だから」「給料が安いから」「友達が一緒にやろうと言っているから」色々とあろうかと思いますが、これらの理由と上述した“不安”を向かい合わせた時に、本人の分が悪いことは明らかでしょう。少なからず、上述の“不安”以上、最低でも同等の理由を持って来れなければ、ブロックを回避することはできません。

そこで私が持ってきた理由は、“将来の安定”です。確かに、今の状態を続けることで“短期的な安定”を手に入れることはできると思うけれども“長期的な安定”ではない可能性のある時代だということを、ことあるごとに話をしていました。最近で言えば東芝やシャープといった企業でさえリストラされてしまうわけで、そのような状況に自分自身も置かれないとは限らない時代になっているわけです。そして、将来この状況が改善されるかと言えば、残念ながら改善は見込めないことも伝えました。

10年後、20年後の日本が今より改善している見込みは薄い

自分たちの親世代のような“終身雇用の時代”はもう戻って来ません。“終身雇用”というものが成り立った理由は、企業が成長するために必要な人を確保するためです。そう、“企業が成長する”ということが大前提になければ、“終身雇用”は成り立たないわけです。では、今後「企業が成長しないか」と言えば、部分的、短期的な側面からすれば「成長する」ことはもちろんあります。ただ、1970年代に迎えた“高度成長期”のような国全体が成長していくことは恐らくほぼありません。なぜなら、日本の“人口”が減っているからです。

“人口の減少”というのは、経済にとっては想像以上に致命的な話です。端的に言えば、1日3食食べる人がそもそも減るのですから、その分の経済活動が縮小すると言えば分かりやすいのではないでしょうか。そして、今後日本の人口が増える見込みがあるかと言えば、残念ながらないでしょう。そして追い討ちをかけるように、“移民の受け入れ”ということも多くの人が反対している様子。すると、10年後、20年後の日本がどのような状況になるでしょう。今の状況以上に改善していると考えられる方がいらっしゃるのであれば、それは是非教えていただきたい。

不安定な世の中だからこそ、どう渡っていくかを提示する必要がある

以上のように、日本で何も考えずに働いていることそのものが実はリスクであるということを認識してもらいました。ただ、上記の事実だけを伝えていっても“将来への不安”を冗長するだけで解決にはなりません。世の中がこのような状態になっていることを変えることはそうそうできないわけですから、そのような世の中をどのように渡っていくべきかをしっかり考えていることを見せる必要があるわけです。

私の一つ提示した解決策は、“海外”です。そもそも日本が衰退していく傾向にある大きな理由の一つが“人口の減少”なのですから、逆に“人口が増加”している場所で仕事を確立できるかどうかという点が、“将来の安定”に繋がる可能性があるのではないかという話をしました。別にこれが唯一の解であるわけではなく、基本的には“成長している分野”の仕事に従事するということは非常に重要なことのように思います。これからシステム化やオフショア化が進み、ただでさえ多くの仕事が奪われる可能性があるのですから、“成長分野ではないところの仕事に従事する”ことのリスクは想像以上に存在します。

大変なのはブロックではなく、その後

また、もう一つ伝えていた大事なことは、「失敗するなら早いうち」という話です。私は今年で35になりましたが、今なら何か失敗しても、体力的にも大丈夫ですし、子供たちもそれほどお金がかかる時期でもありません。裏を返せば、年齢を重ねれば重ねるほど、体力的な限界は出てくるでしょうし、子供たちにもお金がかかってきます。私が一番怖かったのは、子供たちが最もお金のかかる時期に「明日から会社に来なくていいよ」と言われることでした。ともすると、今そのような状況にいらっしゃる方も少なくないように思います。その状況こそ、最も避けたい最悪の事態だと思っています。

最後に、これらの話を突然話をしたところで、理解は得られないと思います。こういった話を実に2年越しくらいしてきたということも事実としてあります。そして、私の嫁もこれらのことをすべて理解してはいないかもしれません。ただ、現時点において“反対”していないのは、何とか普通に生活が送れているからだとは思います。もし、この生活が普通に送れなくなったとしたら、嫁は絶対に「サラリーマンに戻れ」と言ってくると思いますし、それが普通だとも思います。

そう考えるのは、“嫁ブロック”というのはそれほど大きな障害ではありません。むしろ、その後の生活をきちんと送れる状態にするということこそ、本当にご自身の力量が問われるのではないかと思います。

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キヨカワ

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