“自分なりに考える”ことができない部下後輩がいると考える方へ


後輩や部下に「自分で考えてから相談しに来い」と言ったことはないでしょうか。そして、その後輩や部下なりに考え、改めて相談してきた際、「全然違う」と言ったこともありませんか?このような状況を受け、あなた自身もストレスを感じているとは思いますが、そう言われる後輩や部下の方の方が大きなストレスを感じていることでしょう。そして、このような状況が起こることを“後輩・部下の能力が低いせい”と思っていたとしたら…それは大いなる勘違いであると指摘しておきます。

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お店のオーダーで「あなたが考えて」と言われたら

大いなる勘違いであることを一つの事例を使って説明しましょう。あなたはレストランのウエイターで、お客様のオーダーを取りに行きます。そしてお客様からこう言われます「あなたが考えて」と。このように言われたあなたはどんな料理をお客様に提供しますか―。

この問いに対して「レストランのオススメ料理を持っていきます」とか、「そのレストランで自分が一番好きな料理を持っていきます」などの答えが出るかもしれません。しかし、問題文をよく読めば分かりますが、そもそもこのレストランがどんな料理を提供しているかも分からないし、お客様もどんなお客様なのかも分からず、何か判断するにはあまりにも材料(情報)が少なすぎて「判断できない」はずなのです。そう、何かを判断するには“材料(情報)”が必要不可欠なわけです。

何のために、どんな材料(情報)が必要か

では、どのような“材料(情報)”が必要でしょうか。まず、レストランはどんなレストランなのか、何が提供できそうなのか、売りは何なのか…この辺りの情報は必要そうですね。そしてお客様については、どんなお客様なのか。新規の方なのか常連の方なのか。常連の方ならば普段どのような物を召し上がるのか。そして今日の天候はどうかーなどなど、言い始めたらキリがないくらい情報は集められるのではないかとは思います。そしてそれらの情報を集めた後…どのように判断をされるのでしょうか。

色々と回りくどく言って参りましたが、“材料(情報)”をそもそも集めている理由は何なのでしょう?今回のレストランの場合を言えば、「お客様にいかに満足してもらうか」ということを考えてのことだったのではないでしょうか。そしてお客様側としても、「(私が満足する料理を)あなたが考えて」という意図でそのようなオーダーを出していると思います。そう、全てはお客様に満足してもらうという目的で“材料(情報)”集めをしなくてはならないわけですね。さて、そこまで分かったとして、どんな“材料(情報)”が必要でしょうか。

材料(情報)を与えずに任せれば、期待にそぐわないのは当然にありえる

お客様に満足してもらうということが目的ならば、お客様がどのような料理に満足されてきたのかということに関わる“材料(情報)”を集める必要があろうかと思います。お肉が好きなのか、お魚が好きなのか、それとも野菜が好きなのか。特に好きなものは何か、苦手なものは何か。普段食べなれているものを好まれるのか、それとも、これまでに食べたことのないようなものを求めていらっしゃるのか。このように考えていくと、“満足”という言葉一つとっても、その定義は人によって千差万別である可能性があるということにも気付くでしょう。

翻って、「あなたが考えて」とオーダーした側に立って考えてみましょう。その言葉を発して満足感の高い料理が出てくる―ということはレストランではあるかもしれません。また、たとえそこで満足感の高い料理が出てこなくとも、そこに対してそれほど怒る方はいらっしゃるでしょうか。大した“材料(情報)”も与えず、「あなたが考えて」と相手に判断を委ねた段階で、期待にそぐわない料理が出てくる可能性もあるということを考えないのはありえないわけです。

違う答えが返ってきたことには逆ギレしてはならない

話を冒頭の「自分で考えてから相談しに来い」の話に戻しましょう。さて、あなたはその後輩なり部下に対して、判断するのに十分な“材料(情報)”は提供できているでしょうか。また、そもそも何のために判断するのかという“目的”というものも後輩や部下と握れているでしょうか。この二つの条件をしっかり満たしておらず、単に相手に「考えろ」というのは、期待にそぐわない答えが返ってきて然るべきなのです。

「それらの材料(情報)や目的は伝えている」という方も中にはいらっしゃるかもしれません。それでももし「全然違う」と思うような答えが返ってくるとしたら、その“伝え方”に問題があるでしょう。要するに、伝えているつもりでも伝わっていないということです。このように考えると、「自分で考えてから来い」という指示は、日頃の後輩や部下と取っているコミュニケーションの意図が明確に伝わっているかどうかのテストだとも言えます。そこで「全然違う」とあなたがもし思ったとしたら、日頃のコミュニケーションが「全く機能していない」と同義だという事です。ここに自責の念でなくストレスを感じているのだとしたら、逆ギレ以外のナニモノでもありません。

「自分で考えろ」に答えられるようなコミュニケーションを

勘違いしていただきたくないのは、この話がそう言われる後輩や部下の方の免罪符になるわけではないということです。そう言われる側は言われる側として、どうすれば上司のOKが出るのかということを各々が考え、お互いに理解を深めていく必要があることは言うまでもありません。ただ、このスタンスを上司が持っていないことは多くあり、その上司部下、先輩後輩の関係は、少なくとも仕事上上手くはいかない可能性が高いと感じます。

変化が激しい世の中になり、一人ひとりが自分で考え、判断していくような力が益々求められる時代になってきています。とはいえ、一人ひとりが自分で考えるというのは、自分勝手に考えるということではありません。組織で仕事をするということは少なくとも“その組織がどう考えるか”ということを一人ひとりが考えられるようにならなくてはならないわけです。そのための第一歩として、少なくとも上司部下、先輩後輩の間での「自分で考えろ」にはきちんと答えられるようなコミュニケーションを取っていく必要があろうかと思います。

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    東京在住。妻と娘2人の4人家族。

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