就職活動と転職活動の違い
新卒時の就職活動と一度社会に出てからの転職活動。同じようなことはするのですが、それらの違いについて意外と明確になっていない印象があります。改めてその違いについてと、転職活動を進める上でのポイントをお話していこうと思います。
「違い」その1:企業へのアプローチ方法
まずはじめの違いは、企業へのアプローチ方法の差です。新卒の就職活動の場合、恐らくリクナビやマイナビといったナビサイトにまずエントリーをし、そのサイトに掲載されている企業の説明会を予約、そしてその説明会後に選考フローに参加していく、という流れが主流なのではないかと思います。
転職の場合ももちろん、リクナビNEXTのような転職専門のナビサイトに登録して企業を探すことも可能です。ただ、説明会がある会社は少なく、書類選考をオンライン上で行い、それが合格であれば面接に進む、というような流れになるでしょう。また、新卒の就職活動では主流ではない人材紹介の会社のサービスを使って転職活動する方も多くいらっしゃいます。
人材紹介会社は企業と求職者の間に入って調整する役回りで、面接日程の調整というような業務をはじめ、その企業を受ける上でのポイントを教えてもらえたり、自分では探しきれないような企業を探してきたり、内定後の給与交渉など本人ではやりづらいところを代理人として動いてもらえます。このようなサービスを求職者は無料で受けられるので、多くの転職者が人材紹介サービスに登録しています(実は新卒でも同様のサービスが存在しますが、メジャーではありません)。
新卒の時には多くの会社が説明会を実施しOB訪問もできるので、企業の情報を得る機会がたくさんあったのではないかと思いますが、他方、転職活動では情報を得る機会が格段に減ります。また、転職活動では在職中に活動することも多く、新卒の時と比べて時間があまり確保できないという側面もあるでしょう。そのような中で、人材紹介サービスは代わりに情報収集したり、面接の日程調整をしたりと、忙しい社会人だからこそのサービスを提供しているため、多くの転職者が登録をしていると言っても過言ではありません。
★ワンポイントコラム:紹介会社の正体について
少し話は脱線しますが、人材紹介サービスについてもう少し詳しくお話したいと思います。無料で受けられると先述いたしましたが、彼らはボランティアでやっているわけでは当然ありません。転職が決まった場合、転職先の企業からお金が発生しています。重要なポイントは、転職先の企業から、転職が決まった場合にお金が発生するという点です。
お金の出所が“転職先の企業”であるということは、「求職者と企業、どちらかを選らべ」と言われたら“企業”をどうしても選ぶのが人材紹介会社ということです。お金が発生していますからね。また、そのお金は“転職先として決まった場合”という成功した場合に“のみ”支払われるのです。何が言いたいかというと、あまりよくない人材紹介業は、求職者のことをあまり考えず、とにかく転職させればいい、というようなマインドになってしまいやすいサービスでもあります。このようなリスクがあるということをきちんと認識した上で、信頼のおける紹介会社へ登録されることをオススメします。
「違い」その2:書類選考について
次の違いは、書類選考についてです。新卒時の提出書類といえば、企業が用意した「エントリーシート」と「履歴書」、場合によっては「成績証明書」なども求められるのではないかと思います。転職活動において必要な書類は、「履歴書」は同じですが、「職務経歴書」というものの提出が同時に求められます。この「職務経歴書」とは一体何なのでしょうか。
「職務経歴書」とは、これまでの「職務」についての経歴をまとめたものです(そのままですね…)。その内容は、「これまで在籍していた企業名」を起点とし、「どのような部署に」「どのような立場で」「どのくらいの期間」「どんな業務をやっていたのか」、また、「その業務を通じての成果は何か」「どんなスキルが身に着いたのか」というようなことをまとめたものになります(具体的な書き方についてはまた後日)。
面接官がこの「職務経歴書」を見るポイントとしては、募集要項と合致しているかどうかという点です。転職ですと、特定の職務の経験年数や、特定のスキルが求められるケースが多くあります。そのような項目をクリアしているかがまず重要です。ただ、難しいのは募集要項の項目全てを必ずしも満たしていなくても良いケースもあります。それは求人によって異なるので一概には言えませんが、希望の企業の募集要項に当てはまらないからといって提出しないのは勿体無いかもしれません。タイミング的なこともありますし、思い立ったら吉日のマインドで提出してみると良いと思います。
「違い」その3:面接について
次の違いは、面接についてです。新卒時の面接は、グループワークがあったり、複数人での面接、そして個人面接というような流れで選考が進んでいったと思いますが、転職の場合は個人面接が基本です。中にはグループワークをするような企業もありますが、転職者同士が顔を合わせないような配慮かと思います。転職というのは、表立ってやる雰囲気はまだ日本にはないので、というような側面からではないでしょうか。
そして、大きなもう一つの違いが面接回数です。あくまで新卒と比較してではありますが、転職の方が回数が少ない場合が多いです(早い企業は1回だけ、というところもあるようです)。これも転職者の負担軽減という側面もあると思いますし、新卒のように次の年の4月入社というわけではなく、随時入社が決まっていくので、他社との競争に負けないためなど企業によって理由は様々ではあると思います。
面接の回数が少ないと言っても、面接が楽であるという訳ではありません。むしろ、これまでの経歴・実績を中心に話を求められるため、新卒よりも厳しい面接になることが多いでしょう。新卒時はある意味“ポテンシャル”で採用が決まりました。しかし、転職は“実績”が非常に大きなウエイトを占めます。たとえ転職先の業務にドンピシャの実績でなくとも、きちんと実績が上げられる人材なのかどうかという点も見られていますので、その点はしっかり認識して面接に臨んでください。
最後に
最後に、少々矛盾するようなことをお伝えしたいと思います。それは、転職は安易に考えてはいけないという点と転職はタイミングが大きな割合を占めるという点です。
日本でキャリアを積んでいこうと考えている方であれば、転職回数が多いことはマイナス要因になる可能性が非常に高いです。能力があってもすぐに辞めてしまう人材というのは、多くの日本企業にとっては受け入れがたいものがあります(もちろん、それを越えて必要とされれば良いですが)。なので、自分に絶対的な自信が付くまでは転職回数を増やすことは極力避けた方が良いでしょう。
一方で、転職はタイミングでもあります。昨日までサイト上にアップされていた求人が今日はなくなっている、ということはよくあることです。必ずしも自分自身が準備万端ではない時にそのような機会が訪れることもあるでしょう。
そのような際には、「とりあえず受けてみて、内定が出たら考える」ということでも良いかもしれません。もちろん、それぞれの関係者にはご迷惑をお掛けする可能性もあります。ただ、そこで行動せず後悔することと、行動して後悔すること、どちらの後悔を選びたいか、ということだと思うのです。
最終的にはあなたの人生です。後悔のない選択をしていってもらえればと思います。
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