自社商品(サービス)に誇りが持てない方へ

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塾講師が忙しいだけなら別にいいんです。しかしオーバーワークのしわ寄せは全て授業のクオリティーに影響します。当たり前ですよね。限られた時間で、これだけのことをこなさなければいけないので当然、どうしても授業のクオリティーは低下します。

私は常に罪悪感をもって授業をしていました。なぜなら「こんな授業を受けていても成績は伸びないだろうな」と思いながら授業をしていたからです。「ごめんね。本当はもっと、ちゃんと教えてあげたいのに。」「ごめん。今は時間ないからここは簡単に教えちゃうね。」「ごめん。ごめん。ごめん。ごめん・・・」

私は悪いことをしてお金をもらっている気分でした。私にとって塾講師のバイトは詐欺と同義でした。

出典:元塾講師のバイトが語る。大手個別指導塾に絶対に通ってはいけない理由【評判最悪】

というタイトルのブログが今話題になっているようなので、少々引用させていただきました。この記事を読んで、共感される方もきっと多いのではないかなあと思うのです。…が!この記事そのものに共感する前にちょっと考えてみよう、というのが趣旨です。

その商品(サービス)に価値を見出している人は本当にいないのか

今回の記事は、多くの社会人の方(どんな業種・業態の職種に就かれようとも)は、多かれ少なかれ「ああ、あるよね」と思うような内容なのではないでしょうか。私も以前、広告の営業をしていた際に同じようなことを感じていました。広告を打って成果が出ない。これは詐欺以外の何者でもない、と。

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そうすると当たり前ですが、積極的な営業ができなくなっただけでなく、受注した後も罪悪感に苛まれ、非常に苦しい思いをしたことを思い出します。そんな経験をしている私なので、さぞ今回の記事に共感すると思いきや、実は全く逆に思うことがあります。「その商品(サービス)に価値を見出している人は本当にいないのか」そう問われると、そんなことは絶対にないのです。

もし、それが本当に詐欺のように騙されて、お金を搾取されているだけというものであれば、必ず淘汰されるようになっています。そう、上記の著者にとって「価値」と思わないことが、クライアントによっては「価値」になっていることがあったりします。例えば、塾に行くようになって、勉強時間が0だった子が、その時間だけは勉強するようになったというレベルでさえも価値になりえるわけです。

英会話スクールは詐欺ではないのか?

レベルが低い?と思われる方もいるかもしれませんが、全く同じようなことが「英会話スクール」にも言えます。英会話スクールは何をする場所でしょうか?そう、英会話を学ぶスクールですね。そこに通う方の目的は何か。「英会話ができるようになる」というのがほとんどではないでしょうか。では実態は?…もし、英会話スクールで英会話ができるようになるならば、多くの日本人はこれほど英語に困っていないでしょう。今回の記事と同じ尺度で測るならば、英会話スクールの方がもっとひどい。

つまり、多くの英会話スクールに行く人は、それまで英語を使う機会が(ほぼ)0だったものが、少し話す時間ができたというところに価値を見出していることになるわけです。これって詐欺でしょ?と言われればそうかもしれません。ただ、詐欺、と思う方ならば、さっさと辞めれば良い話でしょう。それにもかかわらず英会話スクールが存在し続けるというのは、それまで英語を使う機会が(ほぼ)0だったものが、少し話す時間ができた程度の価値に対してお金を払ってOK、という判断をしているに過ぎません。もし、その業界のサービスレベルを上げたければ、そういったところにお金を払わないと判断できるように、消費者の価値観レベルを上げなければムリなわけです。

塾に行って良い大学に入る、という考え方から疑うべき

逆に言えば、今のサービスレベルで満足する消費者をターゲットとすれば問題はなくなるわけで、注力すべき顧客を変えれば良いわけです(それが嫌なら辞めた方が幸せかもしれませんね)。…と、ここまで話をすると、今回の塾は親がお金を払っているのだから、被害者は学生だ、なんていう方もいらっしゃるかもしれません。そうですね、悪いのは「親」かもしれません。ただ、もっと本質的に考えるならば、仮に最高の塾に入って、自分の志望する以上の学校に入るということが、本当に幸せなのでしょうか?少し前であれば、良い大学に入って、良い企業に入る、それこそが人生の勝ち組のような言われ方をしていました。ところが今はどうでしょう?必ずしもそうとは限りません。

もちろん、今であっても良い大学に入る方が“幸せになれる可能性”という意味だけ考えれば高いのかもしれません。でも、そこに人生をかける程の価値があるかといえば、どうでしょうか。私からすれば、今の教育システムで良い大学にいけるかを決めている某省の方がよほど詐欺行為を行っているように思えます。なので、今回の著者の方の気持ちは分かりますが、残念ながら一部最適を行おうとしているに過ぎないのではないでしょうか。もっと本質的に、全体から見てどうあるべきか、ということを一人ひとりが考えられるようにならなければならないのではないかと思います。

p.s.
なので、自分の納得のいくサービスをしたいと思うなら、自分で開業すべきですね。お金を稼げなければ継続できない、ということを鑑みれば、両立することの難しさもきっと分かるはずです。

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キヨカワ

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