自己分析におけるタイプ別診断の穴

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昨日キャリア教育に関しての記事を上げ、“自己分析”というものにフォーカスされすぎている点を問題視しました。今日はその続きです。“自己分析”の方法の一つにエニアグラムのような特定のタイプに自分を当てはめるものがあるのはご存知の通りかと思います。そのタイプの解説文を見て、「当たってる!」というような占いで自分のことを言い当てられたような感覚に陥ったこともあるのではないでしょうか。今日はそのタイプ別診断的なものに対して一つの警鐘を鳴らす記事を書いていきたいと思います。

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タイプ別診断のメリットは自分自身を再確認できることだが…

皆さんはエニアグラムという診断をされたことはありますか。簡易なものはネット上で診断できるのでしてみていただくと一つ面白いかもしれません。ちなみに私は5番(研究者)と8番(統率者)が同数という結果でした。私をご存知の方は「当たってる!」というように仰るかもしれません。もちろん、それらの解説文を読めば自分でも「当たってるな~」と感じる部分はあります。それは当然で、そのような回答を診断中にしているわけですから、当たっていないわけがないというもの然りであることは見逃せません。

このようなタイプ別診断のメリットの一つに、“自分自身を再確認できる”という点があります。言語化しにくい“自分”という存在を、一般的な言葉で言語化することにより、改めて自分という存在がどのような特徴を持ち、どのようにその結果を生かしていくべきかを考えさせる一つのきっかけにできるというところが大きなメリットとなっているのではないでしょうか。実はこの大きなメリットこそ、大きなデメリットにもなっていることに気付いていない方が多いのではないかと思うのです。

傾向があるだけで実力との相関は薄い

もう一度、そのような診断をする際にどのように回答していくかを考えてみましょう。診断に設問があり、その設問に対して“自分の過去を振り返り”回答していく、というプロセスを踏むと思います。そう、“自分の過去(経験)”に基づいて回答していくわけです。当たり前の話のように思えますが、ここに診断というものに対する限界があります。例えば“ついついリーダーを買って出やすい”という項目に○を付けたとしましょう。それはその方がリーダーをやって上手くいった経験がある⇒だからその行動を繰り返してきた、というだけに過ぎないのです。

もちろん、リーダーという役職を他の人よりも多く経験してくれば、そこから学んできたことはそれなりにあるでしょう。ただ、その経験の多さがリーダーに必要な力の優劣を決めるかと言えば、全くそうではないし、また別の次元の話になるわけです。何が言いたいかと言えば、このような診断で自分の過去の経験上“リーダー”を買って出てきていたとしても、それが社会で実際にリーダーとして実力があるか(活躍できるか)どうかは別問題である可能性が多分にあるということです。

世の中は絶対的な基準ではなく相対的な基準で決まる

このような話をすると、そもそもの診断自体を否定するような話になりやすいですが、そういうわけでもありません。このような診断はこれまでの自分自身の“傾向”を非常によく示してくれるツールであり、そのような経験をたくさん積んできているという自己認識を持っているということを確認できるツールです。そして、その経験を自信に転換して、新たな挑戦につなげていく力にしていくことはできるものであることは間違いありません。

ただ、このような結果で出てきたものを“絶対的なもの”として捉えるのは非常に危険であるということです。物事は“絶対的”な基準で決まるわけではなく、“相対的”な基準で決まります。つまり、自分自身がリーダーシップがあるかどうかということではなく、周りと比較してリーダーシップがあれば、自分でリーダーシップがあると思っていなくともリーダーになる可能性があるし、逆もまた然りというわけです。大事なのはその時その時にどんな力が求められているのか、どのような力でそのチームに貢献できそうかというような視点で考えられる人間になれるかどうかだと思うのです。

ネット上の診断は“その程度のもの”

今回のエニアグラムのような診断は、心理学がベースになっていることが多いと思います。そのような診断ですから、本来であれば専門家である心理学者がしっかりと説明をした上で実施されなければならないものが多いわけです。ところが、そのような専門家が説明するようなプロセスもなく、簡易的にするからこそこのような弊害が生まれるのだとも思います。ネットで受けられるような診断というものは、“その程度のもの”と捉えるに留めておくべき話だと思いますよ。

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キヨカワ

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