方向性を考える上で大事なこと

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金沢大学は常に恐れることなく現場の困難に立ち向かっていける次の能力・体力・人間力を備えた人材を育成します。

1. 自己の立ち位置を知る
鋭い倫理感と科学的知見をもって,人類の歴史学的時間と地政学的空間の中に立つ自己の位置,自己の使命を主体的に把握する能力

2. 自己を知り,自己を鍛える
自己を知り,その限界に挑戦し,知的冒険と心身の鍛錬を通して常に自己の人間力を磨き高めていく能力

3. 考え・価値観を表現する
論理的構成力や言語表現力を駆使して概念やアイデアを明確に表現し,かつ自己の感性や価値観を的確に他者に伝える能力

4. 世界とつながる
他者への深い共感に基づいて異文化と共生し,各人にとっての自国と郷土の文化への自覚と誇りをもって,世界と積極的につながっていく能力

5. 未来の課題に取り組む
科学技術の動向,自然環境変動,持続可能性などの多角的視座から地球と人類,国際社会と日本の未来を総合的に予測し,未来の課題に取り組んでいく能力 

(参照:大学改革とキャリア教育

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抽象的で包括的なものは方向性とは言わない

金沢大学は上記のような方向性でキャリア教育を行っていく、という記事が上がっていました。上記についてもそうですが、教育機関というのはどうしてもこのような抽象的で包括的な話に終始してしまうような印象が拭えません。もちろん教育機関ですから、中立的な立場に立ち、学生自ら選び取らせるというようなことを促す機関であるべきではあると感じますが、あまりに色がない、どうとでも取れそうな内容に感じられるのです。(もしこの大学のキャリア教育の担当になったとしたら、間違いなくどう指導したら良いか迷うと思います。)

方向性を決める、ということは、どの方向には行かないと決めるということとも同義であると思います。上記の話は、どの方向に行かないと決めているのでしょうか?そのような方向性を決めづらい機関であることは間違いありませんが、そのスタンスこそ学生に“選ぶ力”を育めていないのではないかと感じます。

“選ぶ”とは“選ばないこと”を決めること

そう、“選ぶ力”、すなわち、“選ばない道を選ぶ力”をしっかりと付ける必要があるように感じます。なので、上記の1~3はともかく、4、5については、そう学生が“選んだ”先にある話です。社会に出る前の段階で特に5というのは考えづらいでしょう。4というのも、もちろんこれからの時代では大事なことではあるものの、必須ではないとは思います。もちろん、4がある意味当該大学の“選んだもの”だ、というのであれば良いのですが、どこの大学でも言っていて、変わらないですよね。それであれば“アジア”にフォーカス、もっと言えば、個別具体的な国名でも良いのかもしれないわけです。

そうすると、それ以外の可能性を否定することにはなります。それが学生から機会を奪う可能性も確かにあります。ただ、それなしに表面的なことをやっていたところで、何がキャリア教育か、と思うわけです。もちろん、このことに対しての明確な“答え”があるとは思いません。ただ、そういった答えのない中で、何を“答え”とするのか、ということは各大学が真剣に考えなくてはならないことなのではないかと強く感じるところではあります。

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キヨカワ

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