相互理解は異文化だけの話ではない

公開日: : 最終更新日:2016/01/15 6.価値観・世界観について

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「相互理解」という言葉を聞いたことはあるでしょう。端的にその意味を言えば、“お互いにお互いのことを理解する”ということですね。この「相互理解」というものの重要性は、特に海外、外国の方々との関係性の中で使われることの多い言葉ではありますが、同じ日本人同士でも本当の意味で「相互理解」するのは、相当ハードルが高いのです。

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表面的に言っていることが同じだと、理解した気になる

一つ例を挙げて考えてみましょう。例えば、あなたが何か団体スポーツをやっていて、同じチームのメンバーと同じ温度感で同じ目標を目指していたとします(野球をやっていて、同じような温度感で甲子園を目指していた、みたいな感じでしょうか)。そういった人とは恐らく話は合うでしょうし、お互いに理解し合えている感覚は持ちやすいと思います。ただ、それは本当の意味で「相互理解した」と言えるのかというと、どうでしょうか。

もちろん、個別具体的な例ではないので、それほど具体的な話はできないのですが、上記で確実に言えることは「(表面的に)同じ目標を共有できている」という状態であるということしか言えないはずです。もっと言えば、同じ目標を持つ人が、なぜ同じ目標を持っているのか、ということを明確にしていかない限り、各人がどの程度その目標に対してコミットし、覚悟を持ってやろうとしているのかということまでは分からないはずなのです。

日本人だからなのか、相手がなぜそう思うのかまでツッこまない

しかし、面接でもない限り、上記のような確認をすることはほとんどないのではないでしょうか。その人の“表面的な”言葉を鵜呑みにし、それ以上のことは聞かないし言わない。同じ日本人だから分かるだろうと言わんばかりに、お互いにお互いのことを分かったかのように振舞う。もちろん、それで問題が起こらなければ良いと思うのですが、問題が起こった際に慌てて話し合いの場が設けられ、そこではじめて真意を知るなんていうことも珍しくありません。

このようなことが、もちろん諸外国でも起こっていないわけではないと思いますが、こと日本人において、「日本人同士だから分かるだろう」というような“甘え”があるように思えてなりません。一人ひとりが発する言葉は、それぞれの経験・バックグラウンドから発せられるものであり、誰一人として同じものを持っている人はいません。そんな中で、「日本人だから分かるだろう」などと片付けられるものなど、本来は一つもないはずなのですが、そこの重要性に気付いていない人が多いように思えます。

日本にはバックグラウンドを無視した発言がいっぱい

今私は、「国際交流を通じて青少年の育成をする」ということを掲げている団体に関わらせていただいています。「国際交流を通じて青少年を育成する」という目的は定めれられているのだから、大きなズレはないだろうし、そういったところに興味を持って関わる人なのだから、変に話がこじれることもないでしょう、というような認識を一部の方が持っていることが分かりました。

これは、正直申し上げて“とんでもない話”なわけです。一人ひとりがなぜその団体に関わろうとしているのかというバックグラウンドを完全に無視した発言です。もちろん、それで問題が起こらなければ良いでしょう。しかし、現実問題として問題が起こるわけです。なぜ起こるか。答えは簡単で、それぞれテーマである「国際交流を通じて青少年を育成する」というものに対して、どういった経験・バックグラウンドによって関わろうとしているかによる価値観の相違です。

国際交流という価値観の相違に最も敏感でなくてはならない団体において、この話は致命的と言わざるを得ません。即刻、この点については話し合いの場を設け、修正していかなくてはなりません。それができなければ、その団体が国際交流などということを語る資格はないはずですから。

相手を完全に理解することはできないが、知ろうとする努力は続ける必要がある

今日の話を端的に申し上げれば、“相手の表面的な言葉だけで相手を判断する”のではなく、“相手がその言葉を発するバックグラウンドまで知ろうとしよう”ということです。それを知ろうとせず、「同じように考えてくれているはず」と考えるのは、あまりに乱暴。バックグラウンドを知ったとしても、本当の意味で相手を理解するというところまで行くことができず、齟齬が起こる可能性は必ず残ってきます。

逆もまた然りで、あなたのことも完全に理解してくれる状態を作るのは難しいはずです。このように考えれば、「相互理解」というのは、口で言うほど簡単ではないということが痛感できるのではないでしょうか。「相手のことが分かった気になる」それは、驕り以外の何者でもありません。目の前の相手が日本人だろうと、以前から見知っている相手であろうと、完全に理解することはできないということを改めて認識した上で、相手を知ろうとする努力をする必要があるのではないかと思います。

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