安保法案反対のデモの本当の意図…?
先週末に渋谷で成立した安保法案に反対するデモがあったようです。彼らの主張はもちろん、「戦争反対」。その主張そのものはもっともだし、否定はしないし、してはいけないことだとは思います。ただ、発言に矛盾を抱えていることも事実であり、その矛盾に対してきちんと向き合おうとしていないようにも思えます。それは単に彼らの勉強不足ということで片付けていいのか、それとも違う意図があるのか。
一見、まともに見えるロジックだけれども…
改めて今回の安保法案の改正によってもたらされたものを振り返っておきます。端的に言えば、自衛権の範囲を少し広げたということが結論になろうかと思います(詳しくは他の詳細なサイトをご覧ください)。それまでは日本が直接的な攻撃を受けた際にのみ個別的自衛権を行使することができる範囲だったものが、日本の安全に重要な影響を与えている活動をしている第三国が攻撃された際には集団的自衛権を行使できるという範囲に広がったということです。デモをされていた彼らからすると「これこそ戦争のはじまりだ」と主張。そしてそれはそもそも憲法違反で、ひいては秘密情報保護法などの成立なども憲法違反ゆえ、憲法を無視した政府だ、ありえない!と言っているわけですね。
まあ、この文面だけ見れば気持ちは分からなくはありません。でも、少し考えたり調べたりするだけで色々とボロが出てくるのも彼らの主張だったりします。例えば、つい先日もアメリカの大統領選挙でトランプ氏が発言していましたが、「日本は自分たちが危険にさらされたら助けてくれと言うが、われわれが助けてくれと言っても助けない国だ」というもの。これは事実であり、向き合わなければならない問題の一つです。沖縄で駐留アメリカ軍の問題が大いにあることは分かっているものの、彼らの存在によってこの70年以上戦争をしなくて済んできているという側面があることは見逃してはならないポイントのはず。その点を彼らはどう向き合っているのか。
主張の穴に彼らはどう向き合っているのか
秘密情報保護法にしても「監視社会になる」など色々と言われており、個人的にも気持ち悪いものではありますが、行政サービスの簡略化や、日本からの資産流出や脱税の防止などの意味合いを考えると、日本の財政問題に資することではあるとは捉えられます。ご存知の通り、今の日本の財政状況はGDP比200%の借金を抱えている状態なのですから、その状態を抜本的に改善する方法を考えなくてはなりません。その点について彼らはどう向き合っているのか。
原発再稼動問題にしても同じです。東日本大震災であった事故は繰り返してはならないことであることは間違いありませんが、原発を再稼動させずにどのように電力をまかなうのかという点については言及がありません。「今まかなえているじゃないか」と言われそうですが、その中身は「火力発電」です。火力発電の燃料は主に「石油」。今は原油安で電気料金への影響も特にありませんが、原油高になったら当然電気料金も上がります。それだけでなく、環境問題にもなりますし、そもそも「石油」という資源を枯渇させることに繋がります。その点について彼らはどう向き合っているのか。
これら以外にも色々と突っ込みどころはありますが、これくらいにしておきましょう。
勉強不足ならかわいいが、他の意図があるなら怖い
こういった状況を俯瞰してみて、「彼らの勉強不足だ」と一蹴する方もいらっしゃると思うのですが、本当に単純に「彼らの勉強不足」ということが事実なのであればかわいい話です。しかし、もし何らかを意図してそのようにしていると考えると、少し怖い話になるような気がしています。
ご存知の通り、これらの活動の中心になっているのは学生です。普段学生と接していて思うのですが、恐らくこの団体のロジックを持ってすれば、簡単に彼らの心を掌握できてしまうでしょう。上記のような矛盾点に気付くことなく、心から「戦争反対」を唱えることになるでしょう。そして、上記のような指摘をすることに対しては感情的に「戦争反対以上に大事なことはある!?」というような論調で説得にかかるような気がしてなりません。ある種、“思考停止”している日本人の特徴を利用した集団洗脳に近いような気さえしてきます。
一人ひとりが考えて行動する必要がある時代
ただ、今回のような動きによって政治に興味を持とうとする動きが出てきていること自体は良いことだと思います。選挙権も18歳に引き下げられることですし、政治について各人がしっかりと考え、意見を持つということは非常に重要なことです。そう、“各人”がしっかりと考えるということが大事なわけです。日本人は「みんなそう言うからそう思う」というような意味の分からない同調する風土があります。そうではなく、一人ひとりがしっかりと考えて行動していくことが大事なはずではないでしょうか。
日本には各人が“考えなくて良い仕組み”がたくさんあります。それはそれでメリットを受けている部分もありますが、それがデメリットに転じることもあることは覚えておく必要があろうかと思います。当たり前のことを当たり前と捉えず、改めて「なぜ」という言葉を投げかけることを一人ひとりがしなくてはならない時代ではないかと思います。
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