留学ではグローバル人材になれない!?

公開日: : 最終更新日:2016/03/23 4.グローバル人材になるために


「現代の留学は無意味ー」と切り捨てる記事が上がっていました。この記事の趣旨としては、「今の留学は“海外に友人を作る程度の観光の延長”であり、“グローバル人材”を育てられるようなものではない。何か専門性を持たせて、一緒に仕事をさせるようなことをさせるべきた」というものでした。確かに“グローバル人材”というものの育成にフォーカスをすればその通りだとも思うけれども、留学そのものを否定するのは行き過ぎであるとは思う。

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留学だけではグローバル人材にはなれない

“グローバル人材”という言葉をどのように定義するかにもよりますが、仮に“グローバルに活躍できる(成果の出せる)人材”と定義するのであれば、今の“留学”というものだけではほとんどの場合、そのような人材になることは難しいと思います。それは多くの大学生が社会人になっていきなり結果が出せるかといったらそういうわけにはいかないことと同じで、社会人として成果を出すということは母国で母国語を使っていても難しいものだからです。それにもかかわらず、単に留学した程度でグローバルに成果の出せる人間になれるかと言えば、なれるわけがありません。

このような話を受け、「では、留学することそのものが無意味か」というと、それは断固として否定したいとも思います。留学する意味というのはたくさんあります。その中で、特に日本人にとっては、留学という行為を通じて多くの人が初めて“自分たちとは明らかに違う”ものと触れられる機会であるということは非常に大きなポイントの一つです。

日本との明らかな違いを感じることができるのが海外

日本人というのは幸か不幸か、自分と違うものに触れる機会が他の国と比較して圧倒的に少ない国です。周りを見渡せば日本人だらけだし、それほど生活水準も違うわけでもない。そして周りに合わせることが求められ、人と違うことを恐れる。そのような国民性を良くも悪くも育んできたのが日本人なわけです。そのような日本人が海外に出て、自分と違うものに触れ、自分が当たり前だと思っていたことが当たり前ではないということを体感することができます(もちろん、このような経験は“観光”でもできる側面はあろうかと思いますが、留学のようにある程度の期間その国に滞在することで見えてくることは変わります)。

その結果、いかに日本人として生まれたことがラッキーだったかということを実感する人もいらっしゃいますし、そんな日本のことを全然知らなかったと気付く人もいます。何を感じるかはその人それぞれにはなりますが、“日本にしか住んだことのない”人には絶対に体感できない何かを持ち帰ってくることができます。この体感は、留学を経験したことのない人には絶対に分かりえないものですし、経験せずに分かった気になれるものではありません。

特定の国の友人がいる=関心が生まれる

また、冒頭の記事で否定されていた“海外で友人を作る”ということは、思っている以上に重要なことです。特定の国の友人を作るということは、“その国に対して関心を持つ”ということと同義です。例えば、ウクライナ人の友人ができたとします。恐らく多くの人はウクライナ人の友人などいないでしょう。ところが、いざウクライナ人の友人ができると、たとえばウクライナで何かが起こりニュースになると、その友人のことを思い出すようになるわけです。それは友人がいなかったり、その国を訪問でもしていなければ聞き流すニュースになってしまいます。

「聞き流すことの何が悪いのか」と言われそうですが、要するにそれは“無関心”な状態なわけです。マザーテレサが「愛の反対は憎しみではなく無関心」という言葉を残していますが、関心がないということは憎しみを持たれているよりも下の位置づけであり、仮にその国が戦争を始めても心を痛めることなく“無関心”でいることになります。今日本は“平和”と言われていますが、将来どうなるかは分かりません。そんな中で日本に対して世界が“無関心”であったらどう思うでしょうか。「友情は戦争の最大の抑止力」と言われることがありますが、正にそのような効果が友人を作ることにあるわけです。

経験をせずに理解することはできない

その他にも留学する意味はたくさんありますが、このように考えていくと“語学”という側面は非常に一部であり、それ自体を目的に留学することは非常にもったいないわけです(もちろん、留学するきっかけとしては“語学”というのはよくあるパターンですが)。そして、このような経験をした人の中からでないと、グローバル人材が生まれては来ないとも思うわけです。

今はインターネットを通じてどんな情報も手に入れられるようになりました。以前、野球観戦(の現場)に行ったことのない人が、「TVやネットで見られるのに、わざわざ球場に足を運ぶ理由は分からない」という話をしていたのを思い出します。TVやネットを通じて見る野球と、実際に現場に行って体感することとの差を知らないからでしょう。ここの差に気付けるかどうかは両方の経験をしている人間にしかできません。少なくとも留学をせず、留学は無意味と切り捨てることだけは止めて頂きたく思います。

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