ベンチャー、スタートアップへの転職を考えている方へ
ここ最近の転職市場は活況ですね、どんな記事を見ても“売り手市場”の文字が並んでいます。この転職市場が活況であることも手伝ってか、ベンチャーやスタートアップへの転職というものも盛り上がりつつあるように感じます。ただ、ベンチャーやスタートアップへ転職するかどうか迷っているという人の悩みが、「ストックオプションはどれくらい貰えたら入るべきでしょうか」とか、「世界を取るようなベンチャーを教えてください」というような、ベンチャー、スタートアップ経験者から見ると非常にピントのずれた質問が多いことも事実です。
ベンチャーを自分の都合の良いものとして捉えていないか
ベンチャーやスタートアップへ転職しようと考えていらっしゃる方に改めて考えて頂きたいのは、“何のためにベンチャーやスタートアップへ転職しようと考えているのですか?”ということです。そう、そのベンチャーやスタートアップに転職する“目的”ですね。この“目的”が、自分にとってだけ都合の良いものとして捉えているように思えてなりません。
例えば、冒頭の「ストックオプションはどれくらい貰えたら入るべきですか」という質問。恐らくこの方の裏側にある心理としては、「上場してそのストックオプションで一儲けしたい」という話でしょう。また、「世界を取るようなベンチャーを教えてください」という質問については、世界的に有名になる企業に早く入って自慢したい、かのような心理が透けて見えます。このような“自分のことしか考えていない状態”でベンチャーやスタートアップに入ることは、十中八九辞めることになるので転職しないことをオススメします。
ストックオプション等で儲かるのは初期の社員だけ
まず、基本的な情報を押さえていただきたいのですが、設立3年以内に倒産・解散する企業は35%、5年で85%、10年で93.7%です。日の目を見ている企業というのは本当に一握りの企業であり、単にそういった企業に“憧れているだけ”であったり、それで“お金儲けしたいだけ”であるならば、普通の感覚からすれば“割に合わない”はずです(上記は上場ではなく、単に会社として存続しているだけの話ですからね)。
もちろん、「もうすぐ上場する」ということを謳って募集している企業もあるかもしれませんが、もうそのような企業はベンチャーやスタートアップではなく、大企業と言って良いでしょう。ストックオプションも一部もらえるかもしれませんが、大した数をもらえるわけないでしょう(利益として数万~数十万あればくらいでしょう)。ストックオプション云々で一千万円単位で儲けたければ、上場の「じょ」の字もない頃に入社しておかなくてはならないのです。
その企業の掲げるビジョンを本気で叶えたいと思うか
以上のように、まずベンチャーやスタートアップに転職するということは、“その企業がどうなるか分からない”ということを改めて前提にしておいていただかないと、「こんなはずじゃなかった」となるわけです。「こんなはずじゃなかった」と思い始めたら最後、あとはいつまた転職するかを考えることになるのではないでしょうか(特にベンチャーやスタートアップは激務であることがほとんどでしょうから)。では、どんな目的を持っている人がベンチャーやスタートアップへ転職すべきなのでしょうか。
一番健全なベンチャー、スタートアップへの転職の目的は、そのベンチャーなりスタートアップなりが実現したいビジョンを一緒に叶えるため、になると思います。ソフトバンクの孫正義さんがアルバイト2人で事業を始めた時に、みかん箱の上に乗って「情報革命で30年後一兆、二兆の会社にする!」と語ったそうです。それを聞いてその2人は早々に辞めたそうですが(笑)、今のソフトバンクを見れば、それが現実のものになっているわけです。企業が掲げるビジョンに共感、だけでは弱いかもしれません、主体的にそのビジョンを本気で叶えていきたいと思えるかどうかということはベンチャー・スタートアップへ転職する目的としては非常に重要なポイントだと思います。
潰れるか潰れないかなどは関係ない域で仕事ができるか
それ以外にもベンチャー、スタートアップに転職することのメリットはあるのですが、上記の「ビジョンを本気で叶えたい」と思うかどうかによってもたらされるものが非常に大きく変わることも事実です。要するに、「ビジョンを本気で叶えたい」からこそ、どんな努力も惜しまず頑張る状態を作れるため、結果として能力も、ポジションも、そして金銭的な側面も付いてくる可能性があるわけです。潰れるか潰れないかなどは関係ない、というような域で仕事ができるかどうかが求められるわけです。
もちろん、人によっては「潰れてしまっては困る」という方もいらっしゃるでしょう。そういう意味ではやはり安易にベンチャーやスタートアップへ転職することはやはりオススメできません。ただ、今はどんな企業にいても“潰れるリスク”はあるわけですから、“潰れるリスク”をヘッジするための努力はしなくてはならないと思います。それは別にベンチャーやスタートアップへ転職する云々とは別次元の話です。仮に副業である程度の収入を得られるようになれば、ベンチャーやスタートアップに行って潰れても大丈夫な状態にもなるわけですから。
ベンチャーやスタートアップを自分の都合の良い存在にしないでくださいねという話でした。
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