キャリア教育最大の問題点

公開日: : 最終更新日:2016/04/15 6.価値観・世界観について

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昨今の高等教育の現場では“キャリア教育”というものを推進しているようです。何のためにそういった教育をしようとしているのかという文科省の意図を正確に図りかねるところではあるのですが、その必要性は誰しも感じるところではあるように思えます。ただ、実際の現場で何を教えているのかというと、就職活動でやる自己分析のようなことが中心のよう。もちろんそれを重要ではないと切り捨てはしないものの、「それなのか?」という感想を持ちます。

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 “自分”のことしか考えないことがまず問題になっている

「自分のキャリアを考える上で、まず自分自身のことについて考える。」就職活動でもそうですが、そもそも自分がどのような人間なのかを考えることがまず大事、という風潮は強いようです。冒頭でも申し上げている通り、「自分自身のことを考える」という行為自体は大事なことではありますし、そのような問いを投げかけられなければ考えることもなかったのだろうとも思います。一方で、この“自分”主体の考え方こそ、そもそも今の学校教育の大きな問題の一つであることに気付けていないのではないかとも思うのです。

私が考える今の学校教育の大きな問題の一つは、全てが“自分(生徒)のために”となっている点です。学生の本分は“勉学”ですが、その“勉学”は何のためにするのでしょう。それを“自分(生徒)のため”と言い切る先生方は残念ながら多いのではないでしょうか。もちろん、“自分(生徒)のため”という答えが間違っているわけではありません。では、なぜそれが“自分(生徒)のため”と言えるのかということをきちんと説明できる先生はいらっしゃるでしょうか。良い大学に行けば自分の将来の選択肢が増える、というような安易な回答を本気でする先生がいらっしゃるなら、即刻辞めていただきたいところではあります。

働く必要があるのは、今の社会を維持・発展させるため

そもそも“キャリア”というものを教える立場の人間が、「なぜ、働かなくてはならないのか」ということに明確に答えられないところに問題があるように思えます。それは、一個人が「働かなくては収入が得られないため」というような答えを出す話ではなく、一般論としてです。答えを言えば、人が働かなくてはならないのは、今の社会を維持・発展させるためです。人が働かなければどうなるか。それを現時点で行ってしまえば、社会の崩壊を意味することになります。このような根本が教えられていないように思えてなりません。

そう考えると、テクノロジーの発展によって働かなくても良い世の中が来る可能性があります。今人が行っていることをテクノロジーに置き換えられれば、働く必要はありませんから。ただ、それはその社会を単に維持するだけならば、という条件が付きます。そこから“発展”させる上では、(現時点では)人の力が不可欠だと思うので、そういった中で一人ひとりがどのように社会に対して何らかの貢献をすることができるかということが求められるように思うのです。

今と昔で社会に求められていることが全く異なる

このように考えると、一昔前に社会に求められていたことと、今、もっと言えば未来において社会に求められるであろうことが確実に変わってくるということにも気付けると思います。例えば、一昔前の高度成長期においては、いかに速く、そして正確に物事をこなしていく能力というものが非常に重宝されました。だからこそ当時の学校教育が速く、正確に物事をこなしていく能力が身に付くようなものになっていたわけです。

他方、今社会に求められている力は何でしょうか。成長期はとうに終わり、一通りの生活水準が保たれている社会になってきています。このような背景を受け、どの企業も考えているのは、今の水準をいかに“少ない力”で達成するか(=生産性を上げるか)、また、今の社会にプラスアルファ(付加価値)を付けられる商品、サービスを提供するかということに注力しようと考えています。だからこそ、どの企業も“IT”の分野に力を入れているし、プラスアルファを自ら生み出せるような主体性を持った人を求めているわけです。そのような社会が求めていることにどれだけ“学校現場が応えられているか”と言えば、言うまでもないと思います。

働くことが社会に貢献することを改めて言語化する必要があるのでは

“自分”が主体が何が悪いかという話に戻すと、“自分”しか見ていないからこのような社会の変化に気付けていないわけです。いや、本来は頭のどこかで気付いているのだとは思いますが、働くということが“社会に貢献する”ということをつなげて考えられていないからこそ、“自分を知ろう”というようなことで止まっているように感じます。そのつながりをきちんと認識して、明確に伝えられていないことが最大の問題なのです。

今度、キャリアに関する話を高校生の前で話をすることになっているのですが、このような話を少しでも伝えられればとは思います。ただ、非常に気になるのは、そういった場で登壇する人間のほとんどが“サラリーマン”であることです。“サラリーマン”という仕組みは、言ってしまえば高度成長期に適合していた一つの仕組みに過ぎないもので、その歪が徐々に出てきているのが現代であるという背景があることを伝えづらくなるということです。“サラリーマンになる”ことだけが社会に貢献することでは全くありません。それを、強烈ではないにせよ、伝えていく必要があるのではないかとは思うわけです。

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