自己分析におけるタイプ別診断の穴

公開日: : 1.キャリア構築の大枠の考え方

Pocket

昨日キャリア教育に関しての記事を上げ、“自己分析”というものにフォーカスされすぎている点を問題視しました。今日はその続きです。“自己分析”の方法の一つにエニアグラムのような特定のタイプに自分を当てはめるものがあるのはご存知の通りかと思います。そのタイプの解説文を見て、「当たってる!」というような占いで自分のことを言い当てられたような感覚に陥ったこともあるのではないでしょうか。今日はそのタイプ別診断的なものに対して一つの警鐘を鳴らす記事を書いていきたいと思います。

888f81067c83516fa9cca1685e960640_s

タイプ別診断のメリットは自分自身を再確認できることだが…

皆さんはエニアグラムという診断をされたことはありますか。簡易なものはネット上で診断できるのでしてみていただくと一つ面白いかもしれません。ちなみに私は5番(研究者)と8番(統率者)が同数という結果でした。私をご存知の方は「当たってる!」というように仰るかもしれません。もちろん、それらの解説文を読めば自分でも「当たってるな~」と感じる部分はあります。それは当然で、そのような回答を診断中にしているわけですから、当たっていないわけがないというもの然りであることは見逃せません。

このようなタイプ別診断のメリットの一つに、“自分自身を再確認できる”という点があります。言語化しにくい“自分”という存在を、一般的な言葉で言語化することにより、改めて自分という存在がどのような特徴を持ち、どのようにその結果を生かしていくべきかを考えさせる一つのきっかけにできるというところが大きなメリットとなっているのではないでしょうか。実はこの大きなメリットこそ、大きなデメリットにもなっていることに気付いていない方が多いのではないかと思うのです。

傾向があるだけで実力との相関は薄い

もう一度、そのような診断をする際にどのように回答していくかを考えてみましょう。診断に設問があり、その設問に対して“自分の過去を振り返り”回答していく、というプロセスを踏むと思います。そう、“自分の過去(経験)”に基づいて回答していくわけです。当たり前の話のように思えますが、ここに診断というものに対する限界があります。例えば“ついついリーダーを買って出やすい”という項目に○を付けたとしましょう。それはその方がリーダーをやって上手くいった経験がある⇒だからその行動を繰り返してきた、というだけに過ぎないのです。

もちろん、リーダーという役職を他の人よりも多く経験してくれば、そこから学んできたことはそれなりにあるでしょう。ただ、その経験の多さがリーダーに必要な力の優劣を決めるかと言えば、全くそうではないし、また別の次元の話になるわけです。何が言いたいかと言えば、このような診断で自分の過去の経験上“リーダー”を買って出てきていたとしても、それが社会で実際にリーダーとして実力があるか(活躍できるか)どうかは別問題である可能性が多分にあるということです。

世の中は絶対的な基準ではなく相対的な基準で決まる

このような話をすると、そもそもの診断自体を否定するような話になりやすいですが、そういうわけでもありません。このような診断はこれまでの自分自身の“傾向”を非常によく示してくれるツールであり、そのような経験をたくさん積んできているという自己認識を持っているということを確認できるツールです。そして、その経験を自信に転換して、新たな挑戦につなげていく力にしていくことはできるものであることは間違いありません。

ただ、このような結果で出てきたものを“絶対的なもの”として捉えるのは非常に危険であるということです。物事は“絶対的”な基準で決まるわけではなく、“相対的”な基準で決まります。つまり、自分自身がリーダーシップがあるかどうかということではなく、周りと比較してリーダーシップがあれば、自分でリーダーシップがあると思っていなくともリーダーになる可能性があるし、逆もまた然りというわけです。大事なのはその時その時にどんな力が求められているのか、どのような力でそのチームに貢献できそうかというような視点で考えられる人間になれるかどうかだと思うのです。

ネット上の診断は“その程度のもの”

今回のエニアグラムのような診断は、心理学がベースになっていることが多いと思います。そのような診断ですから、本来であれば専門家である心理学者がしっかりと説明をした上で実施されなければならないものが多いわけです。ところが、そのような専門家が説明するようなプロセスもなく、簡易的にするからこそこのような弊害が生まれるのだとも思います。ネットで受けられるような診断というものは、“その程度のもの”と捉えるに留めておくべき話だと思いますよ。

スポンサーリンク


関連記事

選ぶ力ってなんだ?

「選ぶ力がない。」このようなことを学生に対してだけでなく、社会人であっても感じることが多々あります。

記事を読む

転職のミスマッチを防ぐため?

転職によるミスマッチを防ぐために3ヶ月間のトライアル期間を設けて入社するかどうかを決める「TRYOU

記事を読む

転職で後悔しないために

転職活動を始めて内定を複数社もらい、そしていよいよどの企業を選ぶかという段階で大いに悩むということは

記事を読む

勝てない相手に勝つ方法

そもそも戦略とは何か? 今日は“戦略”についてブログを書きたいと思います。そもそも“戦略”という言

記事を読む

方向性を考える上で大事なこと

金沢大学は常に恐れることなく現場の困難に立ち向かっていける次の能力・体力・人間力を備えた人材を育成し

記事を読む

サラリーマンこそ確定申告のススメ

今年も確定申告の締切りが迫ってきましたね。私も本日の午前中に提出を終え一息をついたところです。ところ

記事を読む

仕事を辞める決断をする前に知っておくべき事実

ある程度掘れば温泉が出るという事実 多くの方が好きであろう“温泉” 関東地方であれば

記事を読む

不満でも会社を辞めずにいれば良い事あるのか

本当に残酷な転職マネー版グリム童話「ヤメ・ソーヤーの冒険」 不満だらけでも辞めずに残った男が手にす

記事を読む

転職で年収が上がるのには条件がある

エン・ジャパンは2015年10月13日、「ミドルの転職後の年収」についてのアンケート調査結果を発表し

記事を読む

日本の労働環境の今後

欧米では一般化している同一労働・同一賃金という考え方。特に経済が成熟化している欧州では常に仕事<

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  • profile1

    運営者:きよ

    本業:フリーの人事コンサルタント

    学生と社会人の座談会や、学生をアジアへスタディツアーで連れて行っています。

    東京在住。妻と娘2人の4人家族。

PAGE TOP ↑