「あなたを採用したら当社にどんなメリットがありますか?」 の著者に思うこと
“「あなたを採用したら当社にどんなメリットがありますか?」 配属先も未定なのに何を答えろというのか”というタイトルの記事がキャリコネニュースに掲載されていました。本文を読むと、半分くらいはピンとくるものの、もう半分は「???」と思うような内容になっていました。同著者の他の記事を読んでも、半分くらいは分かるものの、もう半分は「???」と変わらない結果でした。これは昨日記事にした“前提”が、私と同記事の著者とでは違うのでしょう。
記事を読んでいて感じる違和感は何か…著者の前提を考えてみる
同著者の記事を読んでいて伝わってくることは、“世の中の面接官のレベルの低さ”と“学生は何もできないんだから素直でいなさい”というような“前提”があるように思えます。前者については…私も再三こちらのブログで辛らつな話を書いてまいりましたので、その点についての“前提”はさほど変わらないように思えます(苦笑)ただ、問題になってくるのは、残念ながらそのような面接官が面接をしている実態があるのが今の日本の新卒採用なわけです。著者の仰るとおり、世の中の面接官がくだらない質問をするべきではないわけですが、そのような質問が出てきてしまうのが実情なわけですね。
そして、問題となるのは後者の“学生は何もできないんだから素直でいなさい”というような考え方。この“前提”については、少々違和感があります。確かに、多くの新卒は社会人経験がなく、入社後に研修という名のトレーニングを経て現場に出て行くことになるわけで、そのタイミングで求められることの一つは間違いなく“素直さ”であるとは思います。また、守・破・離という言葉が示すように、何か物事を学んでいく上で大切なことはやはり守ること=素直さと言い換えてもおかしくはありません。
素直さというのは果たして必須条件にすべきなのか
ところが昨今の経済状況を見ていると、新卒をしっかりと育てる余裕はなくなり、新卒であろうともかなり早い段階で活躍が求められるような時代になってきているように感じます。それに、任される仕事そのものも単純な仕事ではなく複雑な仕事が求められ、単に“素直”なだけでは時代においつかない可能性が出てきているように思えます。
もちろん、同記事の著者は、「素直さだけでなく、プラスアルファの力も必要」であるとは思います。ただ、恐らく「素直さは絶対条件」というように思っているでしょう。このように考えたとき、他のどんな側面が優れていようとも「素直さがなければ対象外」というようなことになろうかと思います。それはそれで同著者のいらっしゃる企業にとっては良いかもしれませんが、それが一般的であるように書いていることに対して違和感を感じるのだと思いました。
素直さを相手に求めるのではなく、自分たちの問題として捉えるべき
素直さ…改めてこのことについて考えてみると、それは人によって使い分けていることにも気付きます。要するに、人によっては素直に話を聞くけれども、そうでない人の話は聞けないというように。そう考えると、大事なことは“素直な人間”を採ることではなく、どんな人間にも素直に話を聞かせることのできる“信頼関係を構築する力を持つ上司”という存在の方がよほど大事になるのではないかと思うわけです。
冒頭で挙げた記事の中で、採用するメリットは人事側が考える話だという言及をされていました。それは本当に仰るとおりです。しかし、同時に“素直さ”というものについても、学生に求めることではなく、そのようなことができる上司なり、教育係なりをきちんとすべきなのでは?という結論にも至るはずでは?と思うのです。
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