問題の多くは”既得権益”が絡む~それを壊すには

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世の中には大小様々な問題があるかと思いますが、その多くの問題は“既得権益”という言葉で説明がつくことが多いように思えます。“既得権益”というと仰々しい言い方になりますが、世の中の問題の対立構造は“持っているもの”と“持っていないもの”の対立であり、“持っているもの”は現状維持を、そして、“持っていないもの”はその改善を求めるといった構造になっていないでしょうか。そして、多くの問題は“持っていないもの”の論理を取り上げ“持っているもの”を悪者のように扱います。しかし、自分が持っている既得権については離そうとしないのもまた人間であると思います。

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既得権益は誰しも手放したいと思うものではないという前提

“日本に生まれたことそのものが既得権益を享受している”ということを認識している日本人はどのくらいいるのでしょうか。そう言われればそう思うという人は多いとは思いますが、そのことを本当の意味で意識できている人も少ないことは事実としてあるように思えます。例えば先に話題となった“保育園落ちたの私だ”問題。「まじいい加減にしろ日本」という言葉で締めくくられていますが、そう心から思うなら日本を出て行けば良いんですよ。でも、出て行かない。なぜか?日本人という既得権益を離したくない自分もいるからですね。

一方で、その活動によって集められた署名を、さも「非常に大きな問題として受け止めます」と言わんばかりに受け取る政治家がメディアでクローズアップされていましたが、これも非常に気持ち悪い。世の中に多くの問題がある中でなぜこの問題だけがこのようにクローズアップされるのか。それは「声が大きいから」であり、その大きい声に応えることがその政治家の次の選挙(既得権)を担保するからです。ここでもやはり“既得権”が出てきます。

このような構造を見て“誰が悪い”と言ってもはじまりません。そもそも“誰が悪い”ということを言っている時点で「じゃああなたは自分の既得権を手放せるの?」と逆に言われることになるでしょう。誰だって自分の既得権が脅かされることになれば、それに対して抵抗されるのは当然なわけです。更に言えば、その既得権が脅かされるということは、その人を想像以上に“感情的にさせる”ことであるということも覚えておかなくてはなりません。そんな人にどんな“理屈の通ったこと”を言ってもムダで、頭では理解できても感情が理解できない状態になるだけです。

問題の解決はトップダウンかボトムアップ

このような状況を受けて、どのように問題を解決していくべきでしょうか。大きくは2つの方向性があると思います。それは、トップダウンかボトムアップかでしょう。トップダウンというのはその名の通り“強烈なリーダーシップを持ってビジョンを示し、それを実行していくやり方”です。重要なのは“ビジョン”であり、その“ビジョン”を叶えるためにいかなる犠牲も払う、そんな覚悟を持ってやるからこそその“ビジョン”についていく人がそのリーダーを支持し、反対意見を封じることにも繋がります。

もう一つのボトムアップというのは、“全ての人々との信頼関係を構築していくというやり方”です。一人ひとりと対話をし、お互いにお互いのことを理解し、信頼してもらう作業をしていきます。ここで重要なのは、一人ひとりに対して対話をするものの、必ずしも一人ひとりの全ての要望に応えることはできないことをきちんと認識してもらうことです。その認識と共に自分自身を信頼してもらうという矛盾したことを両立していく必要があります。

問題の緊急性を見極める力こそ、問題解決のための第一歩

トップダウン、ボトムアップそれぞれを見た時に、ボトムアップの方が好ましいようにも思えます。それは、一人ひとりの納得感は高まることは間違いないからです。ただ、時間が非常にかかるということも然り。よく、問題の緊急性によってトップダウン、ボトムアップいずれの手法を使うべきかの話がありますが、正にそれで、その問題をどれだけ緊急に解決しなくてはならないのかによってどちらの手法を採るべきかを考える必要があります。つまり、その“緊急性”を判断する力が、まずこのような問題を解決する上での第一歩となるわけです。

問題というのは“時間”によって解決できるかどうかということが非常に左右されるものであることが多いように思えます。本来解決できた問題だったにもかかわらず、“時間切れ”によって解決できないというものもたくさんあるのです。この“時間”にもかかわる“緊急性を見極める力”こそ、様々な問題を解決していく上で非常に重要な力であるような気がしてなりません。

まとめとして、既得権益というものは誰しも守りたいものであり、それが脅かされることは感情的な抵抗を必ずするということ。そしてそのような既得権益をはらんだ問題を解決するには、その問題の“緊急性”をきちんと判断した上でトップダウン、ボトムアップいずれかの手法を採っていく必要があります。問題には“時間切れ”という概念が存在する可能性があり、だからこそ“緊急性を判断する力”というものが非常に重要な力であるということを改めて指摘しておきたいと思います。

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キヨカワ

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