問題と課題の違い、そして解決策より問題定義が重要な理由

公開日: : 2.組織人として生きるために

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ある飲食店が客離れに苦しんでいる。客離れだけでなく、客単価もどうやら落ちてしまっている。それに来店する客層も騒々しかったり、あまりに長居するような客も多い。また、客数の減少により、出勤する従業員数を絞り、利益確保に努めているが、忙しい時間帯の接客の遅れがクレームに繋がったり、店内は汚れがちで、それも手伝って更なる客離れにも繋がっているように思える。さて、この飲食店の問題は何か。

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課題というものは問題を解決するためにすべきこと

この問題に対して、「問題は客離れが進んでしまっていること!」とついつい答えてしまう方は多いのではないでしょうか。ちょっとひねくれた方は「客単価が落ちていること」であったり、「客層」「従業員数の減少」「店内の汚れ」と答えられる方もいらっしゃるかもしれません。では、一体何が答えなのかというと、“今のこれだけの情報では判断ができない”というのが現時点に置いては最も適切な答えのように思えます。

なぜそのような答えになるのかということを説明する前に、状況を改めて確認していきたいと思います。ちなみに、皆さんは“問題”と“課題”の差はご存知でしょうか。“問題”という言葉の定義は後に説明するとして、“課題”というものは、“問題を解決するためにすべきこと”と捉えて良いかと思います。このような考え方を以って、仮に“客離れ”というものを“問題”として捉えるならば、下記のように整理できます。

客離れの課題:客層の悪化の改善、従業員のサービス向上、店内の清潔さ向上
⇒客層の悪化の改善の課題:客単価の向上

細かく言えば色々あるとは思いますが、このような大枠はこのような関係性であると思います。

物事を整理していくと問題と課題が矛盾していく

上記をよくよく見てみると、実は矛盾をはらんでいることにも気付くと思います。それは、客離れの課題に客単価の向上という対策が含まれていることです。一般的に客単価を上げればお客さんの絶対数は減ります。それに、従業員のサービスを向上させるには、そこに教育の機会を設けたり、もしくはそもそも対応する人数の絶対数を増やしたりする必要があるわけで、少なからず利益を圧迫することになるわけです。客離れをしていて客単価も下がっているということは売上も下がっている、だから従業員を減らしていると考えると…矛盾しているわけですね。

もしかするとここで「はっ!」とされる方もいらっしゃるかもしれません。何かと言うと、今回の一番の“問題”は、客離れ云々ではなく“売上の低下”なのではないかと思った方です。そう、それが正解!と言いたいところではあるのですが、実はその答えも100点ではありません。確かに、多くの飲食店にとって、そして一般論としては“売上の低下”を問題としたいところではあると思います。しかし、やはり現時点では“売上の低下”ということを問題であると断言はできないのです。

問題とは“あるべき姿”と“現状”との負のギャップ

それでは解答の時間に移っていきたいのですが、その前に改めてビジネスにおける“問題”という言葉の定義を申し上げたいと思います。問題というものは、“あるべき姿と現状との負のギャップ”であると定義されています。ごくごく当たり前のように聞こえるこの定義に見えますが、この飲食店がどのような飲食店を目指しているかということによって、その“問題”というものは変わってくるということに気付けるでしょうか。つまり、その飲食店の“あるべき姿”と“現状”の負のギャップこそ“問題”にならなくてはならないため、“あるべき姿”が提示されていない以上、何が“問題”であるかは分からないということが答えになるというわけです。

つまり、それを“問題”であるかどうかを決めるのはあくまで“クライアント”。その“クライアント”が考えるあるべき姿があってはじめてそれが“問題”であるかどうかが判断されるわけです。そして、その“問題”が定義されてはじめて、その打ち手である“課題”が設定され、その課題解決に努めていくという流れになります。

解決策を考えるよりも問題定義が重要

ごくごく当たり前のような話をしていますが、この辺りの話がきちんと整理されて伝わっていないと、表面的なものを“問題”として捉え、“課題ではないもの”が“課題”として設定され、その課題解決に動き、それが本来“解決すべき問題”に対して矛盾した方向に進むなんていうこともあるのです。

何か問題を解決する際、ついつい“解決策”に目が行きがちですが、実はこの“問題定義”というものが最も重要な工程であり、その工程を曖昧にすると、解決策が解決策にならないことを覚えておいていただきたいと思います。

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